第37.5章

前田南は頭を背け、望月琛を見ようとしなかった。

だが、人を嫌うというのは、その人がそばにいるだけで、その呼吸さえも窒息感を覚えるものだ。

前田南はいらだたしげに言った。

「私の視界から消えてくれない?大塚雪見がこんなことになったんだから、彼女のところにいるべきじゃないの?」

「忘れるな、俺がいなければ、お前は今頃...」

「だから感謝しろっていうの?」

前田南は冷笑しながら遮った。

望月琛が今回助けてくれたところで何になる?

前世の辛い記憶は消えない。望月琛が何をしようと、ククはもう彼女のもとに戻ってこない。

ククの期待、失望、苦しみ、これらすべてを彼女は忘れないのだ!

...

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